Nishiakashi’s Blog

徒然なるままに。。教えられること多し。

使用済み米袋 どこから来てどこに行く

 あるTV番組で、福島の米農家が廃棄米を入れる袋を、JA天草(熊本)の米袋に詰めていた映像が流れた。これは"産地偽装だ"として2chでスレッドが立って問題視されているらしい。

 これに対し、JAグループ熊本が声明を発表した。


 言われなき中傷へのJAグループ熊本からのお知らせ(第1報) 2011年10月19日

 10月19日(水)午前9時からのフジテレビ系「とくダネ!」で、福島の農家が、JAあまくさ(熊本)の使用済みの米袋に入れて米を廃棄している映像が放映されました。
 その一部映像がカットされインターネット上に配信されました。
 インターネット上の画像は「福島の農家がJAあまくさ(熊本)の米袋に産地偽装しているのが堂々と流れる」タイトルになっており、あたかも産地偽装しているかの配信となっております。
 これを見た一般消費者が、熊本産米への不信感を抱き、購入しないなどの誤解が生じています。
 しかしながら、この番組に登場した生産者は、米の廃棄を目的に袋詰めしたものであり一般消費者に販売するものではありません。

 福島県において熊本県産米袋が、なぜ使用されているかとの質問が多数寄せられていますが、JAグループ熊本として、熊本県産米を全国に向けて販売しており、販売先で仮に使用済みの米袋を使用する場合は、農産物検査証明の表示を除去、または抹消することとなっています。
 違反した場合は、法に基づく罰則が科せられます。(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)
 インタネット画像の紙袋に×印が付いているのはそのためです。
 JAグループ熊本としては、販売先に対し使用済み紙袋に×印を付けるよう指導しています。
 JAグループ熊本としてテレビ放送の内容とはかけ離れ、悪意的ネット配信に対し、大変遺憾に感じ強く抗議します。

 (引用:JAグループ熊本 ※言われなき中傷へのJAグループ熊本からのお知らせ(第1報)

 JAグループ熊本は、2chのスレッドが、"「とくダネ!で福島の農家がJA天草(熊本)の米袋に産地偽装してるのが堂々と流れる」"という文言になっている事が気に入らない。ということらしい。
 (10月21日午後現在 JAグループ熊本HPにアクセス不能

 順を追うと、
 1.フジテレビ系「とくダネ!」で福島農家が米を廃棄する映像が放映される
 2.2chでスレッドが立つ
 3.2chまとめサイト"ハム速"が取り上げる
  ハムスター速報 とくダネ!で福島の農家がJA天草(熊本)の米袋に産地偽装してるのが堂々と流れる
 4.Blog・Twitter等で拡散する
 5.JAグループ熊本が慌てて声明を発表
 6.大手情報サイト"ITmedia"が記事に掲載する
  ITmedia ニュース “産地偽装”は「言われなき中傷」2chまとめサイトなどにJAグループ熊本が強く抗議

 ハムスター速報が2chレスを作為的に抽出したと言えばそれまでだが、それを真に受けたJAグループ熊本の、"言われなき中傷"を受けたという意味もよくわからない。ITmediaニュースの記事に至っては、誰が書いたのか、ただ問題点をすり替えて混乱を煽ってるようにみえる。

 問題提起の中心、重要点は、使用済み米袋を使って米の産地偽装が行われているのか? だ。
 これ実は今さら感があるが、以前からネットでは米の"産地偽装"か? として問題提起されていた事だ。それは、福島のとあるホームセンターに、他県JA表示の使用済み米袋が大量に出回っていた。と情報があったからだ。
 これではっきりした。結論から言えば、使用済み米袋は廃棄米を入れるために販売されていた。という事になる。

 では、使用済み米袋を使って米の産地偽装は行われるのか、の本題に入ることにする。
 まず、使用済み米袋の再使用に関しては罰則規定がある。
 農林水産省 一度使用された米の紙袋の取扱いについて (PDF)
 ここにあるように、「農産物検査証明の表示を除去又は抹消せず、再び米を袋に入れて流通させた場合は、農産物検査法に基づく罰則が科せられます。」という事だ。現に、TV番組で放映された農家の米袋には×印があった。
 そして、"農産物検査証明"欄には検査印(検査年)が押印してあり、生産年の表示が義務付けられている。

 米の流通の仕組み・食品表示義務は、
 米ネット お米ものしりゾーン お米はどのようにして家庭まで届くの?
 米ネット お米ものしりゾーン お米の表示はどうなっているの?

 ここ(お米はどのようにして家庭まで届くの?)の図は分かり易い。米の流通自由化で、生産者から政府を経由しないで直接消費者まで流通されるようになったわけだ。
 ここで生産者が、使用済みの農産物検査証明空袋(使用済みの米袋)に米を入れたとする。その米袋には、去年以前の農産物検査証明があるわけで、わざわざそんな米袋を使う理由は限られる。JA・出荷業者(仲介業者)の倉庫に平然と積置きしたいからだ。つまり生産者単独犯でなく、JA・出荷業者(仲介業者)または販売業者・外食企業との共犯で行わないと、放射能汚染米を潜り込ませる事が出来ない。
 この内JAが加担するならば、自前の農産物検査証明空袋を用意出来るわけで、わざわざ使用済みの米袋を使う必要がない。
 こんな事以外にも、放射能汚染米を流通させようと企めば、いろんな方法があるわけで、使用済みの米袋を使った偽装は氷山の一角に過ぎないということだ。

 気になるのは、流通用の米袋(農産物検査証明空袋)などを再使用するということ。今年以降、既に放射能汚染された使用済みの米袋が出回ることになるのだが。