Nishiakashi’s Blog

徒然なるままに。。教えられること多し。

食品企業の放射能対策 (飲料編)

 福島第一原子力発電所事故から既に半年が経った今、食品に携わる企業として独自に放射能対策を施しているのは当たり前。
 まずは飲料メーカー各社。

1.日本コカ・コーラ株式会社


 放射性物質の測定について 2011年6月14日

 東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故後、コカ・コーラシステムでは厳密な品質保証体制のもと、放射性物質の検査を実施しています。
 コカ・コーラシステムは以前より世界共通のマネジメントシステム「KORE」の品質基準に基づいて、製品に使用される水の放射性物質値を測定していました。この度の震災以後、水と原料、製品について日本及び海外の第三者検査機関に検査を依頼しています。
 外部機関による検査だけでなく、日本コカ・コーラ分析検査室に放射能測定装置を2台導入。海外の検査機関によるトレーニングを受けた社員が測定に当たっています。
 日本コカ・コーラ分析検査室で一日に検査できる検体の数は100以上。コカ・コーラシステムの各工場と原料メーカーから送られてくるサンプルを調べます。福島第一原子力発電所からの距離や品質特性などを考慮し、検査を実施しています。
 現在までに基準値を超える値が計測されたことはありません。福島第一原子力発電所の事故によるリスクが明らかになくなったと判断されるまで、現在の検査体制を維持します。

 (引用:日本コカ・コーラ コカ・コーラ社製品の安全性について

 炭酸飲料(コカコーラ・ファンタ・スプライト・カナダドライ)・コーヒー飲料(ジョージア)・茶系飲料(爽健美茶綾鷹紅茶花伝)・アクエリアス・果汁飲料(Qoo・ミニッツメイド)・リアルゴールド・水(いろはす・森の水だより)など。
 原料の一部(水・茶葉・牛乳・糖類)は国内契約先から調達している製品があるはず。原産地表示されているわけでは無いので限定は出来ない。少なくとも、茶系飲料(爽健美茶綾鷹)は国内産と思われる。
 外部機関での検査と独自検査も行っている。とある。検査結果を公表してないのは残念だが。基本的に外資系企業は、日本政府の顔色を窺う必要があまり無いので、比較的安全かも知れない。

2.キリンビバレッジ


 当社製品の放射性物質に関する品質保証体制について 2011年6月1日

 当社では、品質方針に掲げている、「安全でお客様に安心いただける商品・サービスの提供」に則り、原料から製造、物流に至るまで徹底した品質管理体制を整え、製品の安全性確保に努めております。
 この度の東日本大震災後の状況を踏まえて、放射性物質に関する対策を以下のとおり実施しております。
 ・製品に使用する原料水は、行政による放射能分析モニタリングデータを日々監視しながら安全性を確認しております。
 ・原料につきましては、原料メーカーおよび原料供給先で安全性が保証された原料のみを調達しております。
 ・全ての製造工場を対象として製品を継続的にサンプリングし、独自に構築した体制で放射性物質の検査を行い、製品の安全性を確認しております。
 お客様に安全な製品をお届けできるよう、今後も引き続き、品質管理に万全を期してまいります。

 (引用:キリンビバレッジ 当社製品の放射性物質に関する品質保証体制について

 生茶午後の紅茶コーヒー飲料(ファイア)・炭酸飲料(キリンレモン・メッツ)・果実飲料(トロピカーナ)・野菜飲料など。
 キリンビバレッジも茶葉・乳・糖類等は国内産だろう。
 生茶については、キリンビバレッジ 生茶の放射性物質に関する品質保証体制について に、そろそろ本年度産茶葉が出回るので注意したほうが良さそう。
 せっかく、商品単位の原材料や栄養成分も載せているのに、ここに放射性物質の検査結果を公表すればもっと企業信用度が上がるはず。検査方法も公表されていないし。
 キリンビバレッジ 品質への取り組み

3.アサヒ飲料


 放射性物質に関する品質保証体制の強化について 2011年6月15日

 アサヒ飲料では商品開発から原料管理そして製造、流通、販売に至るまで、お客様の立場にたった品質保証体制の強化に取り組んでいます。
 この度の東日本大震災後の状況を踏まえ、さらにご安心頂くため、当社では放射性物質の測定器を導入致しました。製造に使用する水、原材料、製品についての定期的な検査や外部機関による検査を行い、商品の安全性を確認しています。
 今後も引き続き行政の指導に従い、その情報を注視するとともに、お客様に安全で安心な商品をお届けできるよう、更なる品質向上に努めて参ります。
 今後も引き続きご愛飲いただきますよう、お願い申し上げます。

 (引用:アサヒ飲料 ニュースリリース 放射性物質に関する品質保証体制の強化について

 コーヒー(ワンダ)・炭酸飲料(三ツ矢サイダー・WILKINSON)・お茶飲料(十六茶六条麦茶・匠屋・TeaO)・六甲のおいしい水・健康飲料・果実野菜飲料(バヤリース)など。
 何が国内産原料なのかはっきりしない。
 特に水(三ツ矢サイダー六甲のおいしい水)に関しては、元々力を入れているはずだが大丈夫なのか。検査の詳細、検査結果の公表なし。
 アサヒ飲料 アサヒ飲料の安全・安心

4.サントリー


 当社製品に使用する国産農産物原料の放射性物質に関する品質保証体制について 2011年9月12日

 サントリーグループは、安全で安心な商品・サービスをお届けするために、平素より徹底した品質保証に取り組んでいます。
 当社製品に使用する原料は、安全性を確認したものを使用していますので、安心してご賞味ください。
 サントリー製品に使用する原料のうち、今年収穫された国内産の農産物原料については、農産物および環境の放射性物質レベル情報を、国・自治体・サプライヤーから入手し、安全な原料の選定を行っています。
 さらに、地域を定めた上で、自社または外部委託機関で検査を行い、安全性の確認を行っています。
 なお、当社グループの分析機関である品質保証本部 安全性科学センターに、放射性物質ヨウ素131、セシウム134、セシウム137)の精密な個別分析が可能なゲルマニウム半導体検出器を導入し、4月中旬より使用していましたが、8月下旬からは2台に増設し検査体制を強化しました。

 (引用:サントリー 当社製品に使用する国産農産物原料の放射性物質に関する品質保証体制について

 炭酸飲料(ペプシC.C.レモンセブンアップマウンテンデュー)・コーヒー飲料(ボス・スターバックスブランド)・紅茶飲料(リプトン)・乳性飲料(ビックル)・茶飲料(ウーロン茶・伊右衛門)・果汁飲料(なっちゃんGokuriニチレイアセロラ・はちみつレモン)・機能性飲料(DAKARAビタミンウォーター)・水(天然水・Vittel・Perrier)・サントリーソーダなど。
 国内産の農産物原料(水・茶葉・酒原料・果汁・添加物等)は安全な原料の選定を行い、自社または外部委託機関で検査している。とある。
 特に、水・茶葉については、サントリー 東日本大震災後の更なる品質保証の強化について と念の入れようだ。
 検査の詳細結果の公表は無いが、随時情報を更新している様子は好印象だ。
 サントリー 安全・安心への取り組み

5.伊藤園


 当社の放射性物質対策について 2011年6月15日

 当社では、日ごろより製品の原料から製造、流通に至るまで厳しい品質管理体制を確立させ、製品の安全性確保に努めております。東日本大震災発生後は、さらにお客様への安全・安心をご提供するため、放射性物質の確認を下記のとおり実施しておりますのでご報告いたします。

 ・当社は緑茶原料につき、トレーサビリティを完備した仕入れ体制を確立しており、そのうえで、通常の品質管理に加え、放射性物質による汚染の確認体制を整えております。
  国産原材料は原子力災害特別措置法による「産地からの出荷制限」「摂取制限」に抵触しないものを使用し、合わせて、放射線量測定器による自主検査を行っております。
 ・緑茶原料については、2011年産のすべての荒茶、仕上げ茶(製茶)について、放射線量測定器による自主検査を行っておりますが、現時点で異常値は出ておりません。異常値が出た場合は、速やかに精密検査を実施・確認したうえで、国の定める暫定規制値を超えるものは使用いたしません。リーフ、ティーバッグなどの最終製品につきましても、製造日ロットごとの検査を、放射線量測定器を用いて実施しております。
  なお、緑茶飲料を含む すべての飲料製品 については、製造委託工場にて放射線量の監視、使用する水の検査および最終製品の製造日ロットごとの検査を、放射線量測定器を用いて実施しております。

 (引用:伊藤園 当社の放射性物質対策について

 茶飲料(お〜いお茶・ウーロン茶)・野菜飲料(充実野菜・1日分の野菜)・果実飲料・コーヒー飲料(TULLY'S COFFEE)・紅茶飲料(TEAS'TEA)・水・炭酸飲料など。
 緑茶(静岡県以西の産地、主に静岡、鹿児島、宮崎、三重など)。国産ニンジン汁(宮崎県など)。その他果汁(長野、静岡、福岡、宮崎など)の国内原料を使用している。ということだ。結構詳しく記載されている。
 尚、野菜飲料は、伊藤園 当社野菜飲料に使用している原料の安全性について
 これは、静岡県で無料提供した野菜ジュースが消費期限切れだった問題の時の、リリース情報だと思われる。
 伊藤園 安心・安全への取り組み

6.大塚製薬
 オロナミンCファイブミニポカリスエットSOYJOY(ソイジョイ)・カロリーメイトネイチャーメイドなど。
 放射能対策に関する情報なし。
 医薬研究開発も行う有名企業が、放射能に関する情報を何も発表していないとは。本社生産拠点が徳島だからと、甘く見ているのか。群馬にも生産工場があるはずだ。医薬開発を行う上でそんな事は当たり前という認識なら、たった一文載せれば(報道発表すれば)信頼度が高まる。
 大塚製薬 生産活動

7.JTビバレッジ
 コーヒー飲料(Roots)・茶系飲料(辻利)・桃の天然水など。
 "たばこ"に関する放射性物質の検査情報はあるが、飲料に関しては何の情報も無い。
 品質管理全般については、JTビバレッジ 食の安全への取り組み

8.ポッカコーポレーション
 ポッカレモン・ポッカコーヒー・スープ・お茶・水・果汁系飲料など。
 この内、お茶(静岡茶)に関してのみ情報あり。その他の原材料(乳・果物・野菜・穀物等)については情報なし。
 ポッカコーポレーション 弊社製品「静岡茶」の安全性について
 ポッカコーポレーション 品質へのこだわり

9.ダイドードリンコ


 ダイドードリンコ製品の安全・安心 2011年8月22日

 当社では、この度の東日本大震災の状況を踏まえ、お客様にご安心頂くため、国や自治体より使用制限のある原材料は使用しておりません。また、当社独自にすべての製品における出荷前検査を、製造日ごとに放射性物質の測定器を用いて行い、製品の安全性を確認しています。
 今後も引き続き、お客様に安全で安心な製品をお届けできるよう、品質管理に万全を期してまいりますので、変わらぬご愛顧をお願い申し上げます。

 (引用:ダイドードリンコ ダイドードリンコ製品の安全・安心

 コーヒー飲料を主力に、お茶系・水・果実野菜とひと通り。
 具体的な放射能検査内容や検査結果までは公開していないが、何の発表も無いよりは信頼出来るのでは。
 ダイドードリンコ DyDoの取り組み

10.UCC上島珈琲
 放射能対策に関する情報なし。主力商品はコーヒー飲料だけだが、乳原料はどうなってるのか不明。
 UCC上島珈琲 UCCのコーヒーづくり

11.えひめ飲料


 品質保証体制の強化について 2011-08-01

 えひめ飲料では、「お客様にご満足いただける商品をご提供する」ために、平素より徹底した品質保証に取り組んでいます。
 この度の東日本大震災後の状況を踏まえ、お客様にさらにご安心いただくために、放射性物質の測定器を導入し、製品ならびに使用する水の定期的な検査を行い、商品の安全性を確認しています。
 また、震災後に収穫する原料につきましても検査により安全性の確認を進めてまいります。
 国や自治体の環境測定結果を踏まえながら、今後とも製品の安全性の確認を徹底してまいりますので、安心してご愛飲いただきますようお願い申し上げます。

 (引用:えひめ飲料 新着情報 品質保証体制の強化について

 えひめ飲料と言えば、ポンジュース
 意外や意外。放射性物質の測定器の導入が遅れた(2011-08-01発表)とは言え、水や農作物由来の原料に対して検査をする。と。大企業とは違い、中小企業が独自検査するとなるとコストもかかるだろうし、印象はいい。厳密な検査と結果発表を望むところ。
 えひめ飲料 品質保証

12.サンガリア


 サンガリア製品の安全性について 2011年8月5日

 1.【農産物等 産地 】:東日本の緑茶は使用しておりません。また暫定規制値を超える発表のあった都県の農産物等も使用しておりません。果汁を含む多くの農産物等原料は考慮するに及ばない海外産となっています。
 2.【農産物 収穫年】:現行品は昨年(2010年)収穫した緑茶等農産物を使用しています。今年収穫(2011年)した原料についてはガンマ線スペクトロメー タ(検出限界は1Bq/L)で放射能を検査確認して選定使用する体制を取って参ります。
 3.【生産工場と原水】:東日本の工場に一部を生産委託しておりますが、その工場の原水を確認し、放射能は検出されておりません。弊社の大多数の製品は福島第一原発400km圏外となる西日本の自社工場(製造所固有記号:大阪本社SNG, 今川工場SNG1, 伊賀工場S1, 上野工場SNG39)を中心に生産(一部は西日本の委託工場)しています。
 4.【製品検査】:出荷前製品の放射線量では自然被爆量以下の数値にて、既に問題無しの状況でした。当然の事として弊社製品は客観的に安全であると認識されています。近日入荷するガンマ線スペクトロメータ(検出限界は1Bq/L)で農産物等原料・原水をはじめ、全製品の内容物について放射能確認して参りますので、さらに安全性が確保されて安心感が強まります。

 (引用:サンガリア サンガリア製品の安全性について2011年8月5日 (PDF)

 茶系・コーヒー・果汁・炭酸・野菜・乳性飲料など。
 この内、茶系飲料に関しては、いち早く情報を提供。サンガリア 緑茶製品安全性について 2011年5月17日 (PDF)
 サンガリア放射性物質検出機器を導入するようだ。これまでも、事象が起こる度にリリース情報を発表している。それに上記PDFに記載されているように、結構細かい内容で発表している。
 これで検査結果を公表してくれれば、非常に信頼のおける企業と言えそうだ。
 サンガリア サンガリアの取り組み

13.JR東日本ウォータービジネス
 放射能対策に関する情報なし。
 オリジナル商品は、水FromAQUA(以前は大清水ブランド)等。お茶飲料"朝の茶時"は伊藤園と共同開発。しかし、果汁飲料"モモごこち"は買わないほうが無難。エキナカや出張旅行時には注意したほうがいいみたいだ。自動販売機(acure)に忍ばされたりしているぞ。

 ここまで主要な飲料メーカーの放射能対策を調べた。
 大企業は、独自検査や第三者検査機関で放射能検査を行っていると、公式発表をしている。厳密さはどうあれ、公式発表なんだからやって無いという事はない。信頼は出来ると思う。しかし、何か政府の顔色窺いのような、「行政による放射能分析・・・」「行政の指導に従い・・・」という文言は気に入らない。
 公式に放射能対策を発表しているのは、"日本コカ・コーラ"・"キリンビバレッジ"・"アサヒ飲料"・"サントリー"・"伊藤園"、それに"ダイドードリンコ"だ。その中でも、"日本コカ・コーラ"・"サントリー"・"伊藤園"は詳しい説明がある。
 中小企業では、意外な"えひめ飲料"と"サンガリア"だ。この企業は信用出来そうだ。

 気を付けたいのは、野菜飲料と果汁飲料だ。桃・梨・苺には注意したほうがいい。コーヒー等に含まれる乳成分も、由来がわからないものがある。あれだけ騒がれたお茶のほうが実は安全かも知れない。

 (以上この記事には、もちろん一部私の主観も入っています。リンク先のページ等でご自身で確認して下さい。心配ならお問い合わせを。)