前回の記事(食品企業の放射能対策 (飲料編))に引き続き、乳製品関連メーカー各社の放射能対策。
以下には総合食品企業も含まれるが、今回は乳製品に絞って放射能対策を調べる。
1.株式会社明治
牛乳や乳製品は放射能の心配はないですか 安全が確保された乳原料を使用しています。 詳しくは各協会のホームページをご覧ください。 (引用:明治 Q&A 牛乳や乳製品は放射能の心配はないですか) |
粉ミルクについて、明治 ほほえみクラブ 乳児用調製粉乳の放射性物質検査について に記載がある。
原乳は全国各地の酪農家から調達。その後にクーラーステーションに集荷して企業へ出荷される。これはどの企業でも同じだ。
原乳の独自放射能検査はしていない(政府や自治体の検査のみ)となると、安全性を製造工場で判断するしかない。東北関東近辺の製造工場は避けるべきだ。
(KT:宮城県東北工場 KA:茨城県守谷工場 KZ:埼玉県戸田工場 Kナ:神奈川工場)
明治 Q&A 牛乳、ヨーグルトはどこで作っていますか(工場記号)
明治 乳製品事業の品質管理システム
2.森永乳業
お客さまからのご質問 「原材料や工場で使用する水は放射性物質の影響を受けていますか?」 「牛乳・乳製品について放射性物質の検査は実施していますか?」 |
粉ミルクについて、森永乳業 はぐくみ 育児用粉乳の放射性物質検査について (PDF)
こちらも独自検査に関してはグレーだ。必要に応じて製品の検査を実施しております。程度。政府自治体任せの"明治"よりは多少まともなのか。やはり、東北関東近辺の製造工場はなるべく避けたほうが良さそうだ。
(MN:福島工場 CY:利根工場 MI:東京工場 CO:東京多摩工場 MD:大和工場 MS:村山工場 BJ:東北森永乳業仙台工場 BZ:横浜乳業 AY:エムケーチーズ(神奈川))
森永乳業 お客さま相談室 森永製品Q&A 森永では、どこの工場でどんな製品をつくっているのですか。
森永乳業 品質・安全
3.雪印メグミルク
放射性物質について 牛乳・乳製品の原料となる生乳について、自治体が放射性物質のモニタリング検査を行っており、暫定規制値を超えた地域の生乳は出荷されません。安全性の確保された生乳を使用して、牛乳・乳製品を製造しています。 |
粉ミルクについて、雪印メグミルク ぴゅあ&たっち 一般的な質問について
元々の"雪印"は、ほとんど北海道産だったはずだが、雪印メグミルクとなった今では原乳は全国から調達している。果汁や野菜由来の原料もどうなってるのか不明。発表を見ても他力本願(自治体の放射性物質モニタリング検査頼り)だ。
雪印集団食中毒事件・雪印牛肉偽装事件の反省は生かされていないのか。こういう時こそ率先して独自検査・情報公開に踏み切って欲しかった。残念だ。
雪印メグミルク 安全で安心していただける商品の提供
4.ダノンジャパン
弊社製品の放射線量の検査体制について 2011年6月9日 ダノンジャパン株式会社は、消費者の皆様の安全を最優先に考えており、徹底した製品の安全・品質管理を努めるよう常に努力をしております。 (引用:ダノンジャパン 弊社製品の放射線量の検査体制について) |
生乳は群馬・埼玉・栃木・岩手・北海道から調達、その他のソース原材科は国内外で調達している。との事。自社検査と外部の検査機関での放射線量の検査を行っている。
また、2011年3月29日付で安全対策を、2011年8月5日付では、IRSN(フランス放射線防護原子力安全研究所)の工場監査を受けている。できれば、政府暫定規制値以下を自社基準にして、検査結果の公開をして欲しいところだが。それにしても、とても信頼できる企業だ。
ダノンジャパン プレスリリース 製品の製造開始に関するお知らせ (PDF)
ダノンジャパン IRSN(フランス放射線防護原子力安全研究所)による弊社工場監査について
キリンアルカリイオンの水についても、キリンMCダノンウォーターズ 「キリン アルカリイオンの水」の放射性物質に関する品質保証体制について
5.ヤクルト本社
福島工場の復旧に伴い、乳製品全品の出荷を再開 2011年5月27日 2. 放射性物質の自主検査について |
国産脱脂粉乳は北海道産のものを使用。他の原材料・原料水も全て放射性物質の独自検査を実施。とある。東北関東乳製品4工場は毎日、以外の工場でも定期的検査なら信頼感あり。
ヤクルト本社 ヘルシスト 正しく怖がる「放射線」 (PDF)
6.カルピス
東日本大震災後のお問い合わせに関する対応について 2011年6月15日 この度の東日本大震災の状況を踏まえて、お客さまより寄せられておりますお問い合わせに関し、当社の対応につき以下の通りお知らせいたします。 (引用:カルピス 東日本大震災後のお問い合わせに関する対応について) |
自社と公的機関で放射能検査を行っている。という事だが、基本的には政府自治体任せという感じの発表内容で、検査内容の詳細さが欠けるのが気になる。また、製造工場と製造所記号は上記引用資料の下の部分に記載されている。
カルピス 安全・安心への取り組み
7.タカナシ乳業
牛乳・果汁飲料・ヨーグルト・プリン・生クリーム・アイスクリームなど。
放射能対策に関する情報なし。
8.オハヨー乳業
牛乳類・乳飲料・ヨーグルト・プリン・アイスなど。
西日本(本社:岡山県岡山市)の企業のためか、放射能に対する関心は低いようだ。放射能対策に関する情報は無い。
オハヨー乳業 オハヨーのこだわり
9.グリコ乳業
牛乳乳飲料・カフェオーレ・果汁飲料・プッチンプリン・Dororich・ヨーグルトなど。
放射能対策に関する情報なし。
製造工場は以下で確認できる。とは言え、東日本では西日本製造の製品が流通しているとは思えないが。
グリコ乳業 製造工場所在地のご案内
10.チチヤス
ヨーグルト・牛乳・プリン・ゼリー・ジュースなど。
牛乳の原料調達先は、広島県・島根県・熊本県・長崎県などの酪農家から購入しています。とある。放射能対策に関する情報自体は明記していないが、西日本(本社:広島県廿日市市)企業で同地に工場併設なので安全性は高い。(伊藤園100%子会社)
チチヤス チチヤスの歴史
11.めいらくグループ
スジャータ・ホイップ・果汁飲料(フルーツフェスタ・アセロラビタミンC)・アイスコーヒー・豆乳大豆飲料・スープポタージュなど。
製造工場は、本社(愛知県名古屋市)、大府工場(愛知県大府市)、千葉工場(千葉県佐倉市)、中国工場。この内で千葉工場の水道水に関しては情報がある。但し自治体(千葉県佐倉市水道部)への直リンクのみ。
めいらくグループ 水道水中の放射性物質について
めいらくグループ 品質へのこだわり
12.協同乳業
牛乳豆乳類・清涼飲料・乳酸菌飲料・ヨーグルト・プリン・チーズ・アイスクリームなど。
放射能対策に関する情報はない。東京牛乳に関しては、多摩地域の酪農家から集めた生乳からの生産製造一貫体制なので安心感はあるかも。
協同乳業 東京牛乳
協同乳業 バーチャル工場見学
13.小岩井乳業
牛乳・乳飲料・ヨーグルト・バター・マーガリン・チーズ・ジャム・清涼飲料・果汁飲料など。
放射能対策に関する情報はない。
小岩井工場(岩手県雫石町)・那須工場(栃木県那須塩原市)・東京工場(埼玉県狭山市)の3工場。(キリンホールディングス傘下)
小岩井乳業 環境・品質への取り組み
14.キッコーマンソイフーズ
紀文豆乳シリーズが主力商品。豆乳は大豆が原料、乳・乳製品は使用してない。また大豆は国内産を使用していない。とのことだ。
放射能対策に関する情報はなし。
埼玉工場(埼玉県狭山市)・岐阜工場(岐阜県瑞穂市)の2か所。しかし水・その他添加原料(果汁等)の品質管理に心配が残る。
原乳は全国各地の酪農家から調達。一度クーラーステーションに集荷して企業へ出荷される。乳製品はここに問題がある。各乳飲料メーカーが独自に仕入れを仕切っていない事だ。生産者団体(仕入業者)・業界団体のほうが強い構造になっている。構造的欠陥だ。
その生産者団体・業界団体が独自に放射性物質の検査をしているわけではない。
日本乳業協会 原子力発電所事故による牛乳・乳製品への影響に関して
日本酪農乳業協会(Jミルク) 牛乳の放射能問題に関するQ&A
原乳は、主要3社"明治"・"森永乳業"・"雪印メグミルク"が、独自検査なしで政府自治体の放射能検査頼りだ。しかも、原材料が乳由来以外の果汁野菜飲料等もあるわけで、これでは放射能検査をしていない企業からは買えない。
こうなったら、業界と縁が少ない"ヤクルト"や"カルピス"か、外資系"ダノンジャパン"か。それとも、なるべく北海道産・西日本産の表示があるもの(または製造工場)を選んで、リスクを軽減するしか方法が無い。
粉ミルク(乳児用調製粉乳)については、以下にまとめておく。
・ 明治 ほほえみクラブ 乳児用調製粉乳の放射性物質検査について
・ 森永乳業 はぐくみ 育児用粉乳の放射性物質検査について (PDF)
・ 雪印メグミルク ぴゅあ&たっち 一般的な質問について
・ 和光堂 乳児用調製粉乳の放射性物質検査について
・ iCREO(アイクレオ) 「粉ミルク製品」の放射性物質検査について
・ ビーンスターク・スノー 【お知らせ】「乳児用調製粉乳の放射性物質検査結果」について
和光堂(アサヒグループホールディングス傘下)、アイクレオ(江崎グリコ100%子会社)、ビーンスターク・スノー(雪印メグミルクグループ)
日本乳業協会 乳児用調製粉乳の放射性物質検査結果について
(以上この記事には、もちろん一部私の主観も入っています。リンク先のページ等でご自身で確認して下さい。心配ならお問い合わせを。)