仏教が伝来したのは538年ということになっている。これは伝来した年ではなく、中央政府が公認した年と考えるのが妥当です。
これで仏教は儒学とともに、天皇家・中央官僚・諸豪族の必須教養科目になりました。
伝来仏教は経典としてだけでなく、その頃の最先端の美術・工芸・建築技術を日本に伝えたので、中央政府(天皇家)の権力の象徴として利用されるようになります。僧尼令という法律では、僧侶は学問僧としての国家認定免許を必要とし、民間への布教は禁じられました。
ちょっと遡りますが「蘇我物部の崇仏論争」に触れておきます。
仏教公認前から渡来系の人々によって仏教は日本に伝えられていました。その折有力豪族の蘇我氏(崇仏派)と物部氏(非崇仏派)の権力争いが勃発した。ということになっています。
これ仏教という観点から捉えれば、豪族の権力争いに仏教が使われた。ということで、以後それに勝利した蘇我氏が擁立した天皇家集権体制で仏教を国家統制に利用する土壌が出来上がったということが重要点になるでしょう。
天皇家による国家統制仏教体制は、平安時代末期に崩壊し鎌倉新仏教の出現で終焉を迎えることになります。本来の宗教としての仏教はそれまで待たなければなりません。
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