道元は栄西の直弟子ではありませんが、栄西ー明全の弟子にあたる禅宗の僧です。道元も入宋し中国で曹洞宗を学んで帰国しました。
禅宗は菩提達磨(だるま)を開祖とし、中国で発展した仏教宗派です。
達磨は洞窟に九年間篭り、座禅によって悟りを開いた有名な実在の人物です。手足が腐って落ちたというのは疑問ですが。。その達磨から禅宗七祖の天童如浄に師事して法統を継いだのが道元ということになります。
また、仏陀より二十八代目の祖師が達磨とされています。つまり、道元は禅宗の法統を継ぎ、また延々師から弟子へと繋がる真の仏教を継承していることになります。
「正法眼蔵」に道元の思想が書かれていますが、あまりに難解です。というのも、身心脱落(身体と精神から開放された境地)・只管打座(ただひたすらに座禅を組む)・不立文字(真理は文字で表すことは出来ない)だからです。
では、真理はどうやって会得すればいいのでしょう。それは"面授"によって得られるとするのが道元の考えです。"面授"とは字の如く、優れた師によって教えを直接受けることです。不立文字ともうひとつ"教外別伝"(真の仏法は経典の中にはない)という基本思想が禅にはあります。経典を読んでも真理はわからない。だから「正法」(釈迦以来面々と受け継がれた真理)を"面授"しなさい。ということになるわけです。
結局、正しい面授によって真理はどうやって伝わるのでしょうか。それは"以心伝心"と言います。もう文字や言葉で説明は出来ません。
道元は自分の思想を、曹洞宗だとか禅宗だとか、言っていませんし思ってもいません。ただ、仏の真理を座禅によって会得することが出来たと。後日、歴史家が道元は禅宗の流れを汲む日本曹洞宗の開祖と解釈したまでです。
■ 関連図書
- 作者: 和辻哲郎
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2011/05/07
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る