時宗の開祖は一遍と言われています。
一遍は、親鸞の浄土の教えを最終型まで削ぎ落とし"何もすることはない"とまで言った人です。つまり、往生は阿弥陀如来によって既に決定していて、我々人間が何かを行うことすら恐れ多いというわけです。
浄土真宗が流行するのはもっと時代を下った室町戦国期なので、鎌倉室町期に一番流行した浄土教の宗派は時宗です。
一遍は念仏札を配り歩く放浪生活を送りながら、その教えを広めていきます。その念仏札には「南無阿弥陀仏決定往生六十万人」と一遍(絶対)の法が記されていて、"念仏を唱え、ただ札を配る"という行為を続けていきます。そのうち信者が一遍と行動をともにするようになって、弟子や信者達が踊りながら行進するようになり(踊念仏)、一大集団が形成されていったという型です。
しかしもともと、踊念仏は空也が始めたもので、時宗は踊念仏で教団を形成したわけではありません。結果としてそうなったということです。ここが微妙なとこなんですが、一遍は念仏ましてや踊念仏を奨励したわけでなく、弟子・宗徒達が勝手にそう表現してしまっただけです。
一遍はもともとは智真という名でしたが、念仏札配布(賦算)中に、念仏札を配ることに不安を抱き、熊野権現に籠もって瞑想に入り、そこで悟り名を改め一遍としました。
しかし、一遍の思想には大きな矛盾が付きまといます。往生は阿弥陀によって既に決定していて"何かをしてはいけない"のでないのか。。。ということです。一遍の最期は著作や経典をすべて焼き払い、弟子を認めず教団を否定して死に至ります。が、結局は信者や弟子達がその教えを広めていくことになります。
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