Nishiakashi’s Blog

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東大寺大仏と国分寺・国分尼寺

 東大寺の大仏は華厳宗の廬舎那仏として建立されている。命じたのは時の為政者聖武天皇である。では聖武天皇は仏教信仰者かというと、それは違う。この頃の仏教は国家鎮魂のため利用されているだけで宗教色はありません。
 また、行基という僧侶が聖武天皇に招かれ大仏建立に貢献したとされています。でも、行基法相宗の「私度僧」 *1であり、中央政府から弾圧を受けながらも民衆の救済に力を注いだ人なので、どこか矛盾しています。

 聖武天皇の頃、地方の各国に国分寺国分尼寺が建立されています。国分寺には五重塔が建設されますが、これは国家鎮魂というより、中央集権体制の上の地方拠点に仏教建築物を使用しただけ。現在でいう県庁舎です。
 光明皇后は、貧困民救済のための悲田院・医療施設の施薬院を建設して、仏教に帰依して救済に心を尽くしたのは確かです。しかしそれも、正倉院への宝物献納や、興福寺法華寺・新薬師寺建設あたりは仏教貢献よりも別の意味があったようです。

 興福寺法相宗の本山。藤原鎌足夫人が創設した山階寺が起源。光明皇后が堂塔を寄進し、南都六宗四大寺に格上げしたと言われる。
 また、法華寺東大寺国分寺に対する国分尼寺の総本山。

■ 関連図書

聖武天皇 - 巨大な夢を生きる (中公文庫 な 28-4)

聖武天皇 - 巨大な夢を生きる (中公文庫 な 28-4)

*1:私度僧というのは僧尼令で政府公認を受けていない僧侶のこと。