日本たばこ産業(JT)が、前回9月6日に引き続き、10月18日付で、葉たばこの放射性物質の購買前検査結果を公表した。
日本たばこ産業株式会社(JT) バーレー種及び在来種葉たばこ(乾燥済)の放射性物質検査結果 (PDF)
基準値以下ながら、放射性セシウム(Cs-134とCs-137の計)で最大400Bq/kg程度検出されている。
資料にある通り、「乾燥済葉たばこ1kg当りの放射性物質を測定し・・・」、つまり、加工前の乾燥済みの葉たばこの測定値だ。茶葉の時にも問題になったが、乾燥前の生葉ではないので、製品になった折も正味そのままの放射性物質が含有されると思われる。
前回(9月6日付)は、"黄色種"だが、今回は違う品種の"バーレー種及び在来種"についてだ。
これは以下に詳しい、
日本葉たばこ技術開発協会 葉たばこ栽培品種
日本葉たばこ技術開発協会 葉たばこ耕作期節
品種が違えば、栽培・収穫時期も違うとのことだが、前回結果の黄色種は、福島原発事故すぐに移植され(植えられ)収穫されたものだった。今回のバーレー種及び在来種は、5月頃移植され(植えられ)たものだ。栽培期間もどちらも5・6ヶ月程度。
前回の検査結果
日本たばこ産業株式会社(JT) 黄色種葉たばこ(乾燥済)の放射性物質検査結果 (PDF)
比較してみると、栽培地が異なるので一概に言えないが、茨城県でだいたい前回と同程度だ。
これは、福島原発事故直後を避けて、少し時間を経て植えても、2ヶ月程度の差では結果は変わらなかった。という事だ。来年からは、空間に飛散している放射性物質が地表に落ちて土壌に浸透していくため、葉に吸着するものでなく、根から吸い上げる放射性物質が主な要因になる。
最低でも4・5年は注意しなければならないだろう。
放射性物質(セシウム・ストロンチウム)の土壌から農作物への移行については、専門的だが以下が参考になる
日本土壌肥料学会 放射性セシウムに関する一般の方むけのQ&Aによる解説
日本土壌肥料学会 原発事故・津波関連情報
そして、驚いたことに今回、栃木県に数値が高い場所(日光市・那須塩原市・那須町)がある。これは、文部科学省が測定した航空機モニタリングの測定結果と重なる。早川由紀夫氏による放射能汚染ルート(3月15日午後 飯館ルート)とも一致する。
つまり、この辺りの農作物(野菜・米など)や畜産物(肉類・乳製品)、それに川魚も、当然と放射性物質を多く含んでいる可能性が高い。ということだ。
関東近辺に住んでいる限り、放射性物質の摂取を避けることはもう不可能に近い。何らかの食品等に、何らかの形で放射性物質が混入してくる。ならば、なるべくその"リスクを軽減する"という方法論になるかと思う。こういう時、嗜好品であるたばこは、一番に攻撃対象になるわけだが。その上、その放射能物質を含んだ"煙"が、自分自身だけでなく周りの人に影響を及ぼすとなれば。
もう止めますか? それとも、肩身の狭い思いをしても続けますか? どちらにしろ、まずは国内産のたばこ銘柄は避けたほうがいい。
追記として
日本葉たばこ技術開発協会 府県別の平成23年産耕作状況 (PDF)
ここの記載されている福島県の生産実績は何だろう。日本たばこ産業(JT)の発表では、「福島県については、原子力発電所事故の影響により本年の耕作を休止しています。」とある。日本でたばこ製造が出来るのは日本たばこ産業(JT)だけのはず。
■ 参考
日本たばこ産業株式会社(JT) 2011年 国産葉たばこに関する放射性物質の購買前検査完了について
財団法人 日本葉たばこ技術開発協会
社団法人 日本土壌肥料学会
文部科学省 文部科学省による航空機モニタリング結果
e-Gov 法令データ提供システム たばこ事業法