前回までの記事(食品企業の放射能対策 (飲料編)・(乳製品編))に引き続き、酒類関連メーカー各社の放射能対策について。
1.キリンビール
放射性物質に関する品質保証体制について 日頃より、当社製品をご愛飲いただき、誠にありがとうございます。 |
一部に国産原料を使用。その調達先は全国から。洋酒類(ウイスキー・スピリッツ・リキュール)で国産ウイスキーは軽井沢蒸留所か富士御殿場蒸溜所で製造。その他洋酒類は基本的に輸入品だろう。
放射能検査については、その詳細まではわからないが、水・原料、そして最終製品で独自に放射能分析を行っている。とある。大企業らしい対応とみた。もう一歩進んで検査結果を公表して欲しい。そこまでやって消費者に安心・信頼を得られる大企業と言えるのでは。
ちょっと気になるのはこういう取り組みだ。キリンビール とれたての東北に乾杯!
そして今年もやってる キリンビール 今こそ!「選ぼう ニッポンのうまい!2011」プレゼントキャンペーン うーん。難しい問題を含む。
製造工場(メルシャン含む)に関しては以下に、製造所固有記号の情報は見当たらないが。
キリンビール キリングループの工場へようこそ
キリンビール キリンビールの品質への取り組み
2.メルシャン
メルシャン製品の放射性物質に関する対応について 2011年8月5日 当社では、この度の東日本大震災に伴う福島原子力発電所からの放射性物質拡散に対し、製品の安全を確保するため以下の通り対策を実施しています。 (引用:メルシャン メルシャン製品の放射性物質に関する対応について) |
国内ワイナリーは、シャトー・メルシャン(山梨県甲州市勝沼町)・藤沢工場(神奈川県藤沢市)・軽井沢蒸留所・八代工場(熊本県八代市)の4工場。
尚、メルシャンフィード(メルシャン100%子会社)で畜産飼料事業、牛乳を作るための飼料の開発・製造・販売を行っている。
メルシャン 品質と食の安全への取組み
3.永昌源
フルーツリキュール(杏露酒・金柑酒等)・紹興酒・その他(国産老酒)など。
放射能対策に関する情報はない。が、工場が深谷(埼玉県深谷市)から、キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所に移転。そのため、国内製造商品はキリンビール子会社として、キリンビールと同じ放射能対策を行っているはず。
永昌源 中国産原料の安全性について
永昌源 永昌源の品質への取り組み
4.アサヒビール
放射性物質に対する品質保証体制強化について 2011年9月 当社は、お客様に安心してご利用いただける安全で高品質な商品をお届けするため、平素より徹底した品質管理に取り組んでいます。 |
麦芽・ホップは主に輸入原料、一部国産を使用。その他のウイスキー・スピリッツ・リキュール類とワインで海外ブランドのものは、ほどんど輸入品だろう。
国産のウイスキー(ニッカ)は別項目で、日本産ワインについては、ワイナリー(山梨県山梨市)で山梨・山形(蔵王山麓)産のぶどうを使っている。とある。山形(蔵王山麓)はあまりいい場所とは言えない。
アサヒビール ASAHIWINE.com サントネージュワイン
放射能対策は、上記を読む限りそれなりの対応と思われる。
製造工場で東日本には、福島工場(福島県本宮市)・茨城工場(茨城県守谷市)・神奈川工場(神奈川県南足柄市)がある。福島工場はまだ未稼働か?
アサヒビール 品質への取り組み
5.ニッカウヰスキー
余市蒸溜所(北海道余市町)・宮城峡蒸溜所(宮城県仙台市)の2か所。ブランデーは青森県弘前にある弘前工場で醸造、蒸溜、貯蔵を行っている。とある。宮城県仙台市?工場の被害が少なかったのか、既に生産再開している。
放射能対策に関する情報は個別には掲示されていない。アサヒビール100%子会社として同様の措置を行っているという事だろう。
ニッカウヰスキー ニッカがおいしい理由
6.サントリー
当社製品に使用する国産農産物原料の放射性物質に関する品質保証体制について 2011年9月12日 サントリーグループは、安全で安心な商品・サービスをお届けするために、平素より徹底した品質保証に取り組んでいます。 |
前記事(食品企業の放射能対策 (飲料編))にある通り。
特に、水については、サントリー サントリー製品に使用する水の放射性物質に関する保証について と念を入れている。情報は随時更新中。
国産ウイスキー蒸溜所は、山崎蒸溜所(大阪府山崎)と白州蒸溜所(山梨県北杜市)。その他洋酒類の海外ブランドは輸入品。
国内ワイナリーは自社直営の、登美の丘ワイナリー(山梨県甲斐市)・塩尻ワイナリー(長野県塩尻市)、それに提携の岩の原葡萄園(新潟県上越市)の3か所。塩尻ワイナリーには長野塩尻産以外に、北安曇野・高山村・山形県上山・青森県津軽産のぶどうも使用。
本格焼酎に関してはそれぞれ蔵元の紹介があるが、通常販売品は製造工場は不明。しかし以下のいずれかの工場の製造だろう。工場の多くが福島第一原子力発電所から遠いのはいいことだ。
サントリー 企業情報工場 酒類(ビール工場・蒸溜所・ワイナリーなど)
サントリー 安全・安心への取り組み
7.サッポロビール
東日本大震災後の品質保証体制の強化について 2011年7月11日現在 サッポロビールでは、お客様が安心して商品をお召し上がりいただけますよう、平素より徹底した品質保証の体制を整えております。 |
国産原料を一部使用。チューハイカクテルのNECTARサワー(桃)はどうだろうか。
国内ワインは、グランポレール勝沼ワイナリー(山梨県甲州市)と岡山ワイナリー(岡山県赤磐市)の2か所で製造。北海道、山形、長野、山梨、岡山などのぶどう産地で栽培された原料を使用。"グランポレール"と表示されていない国内産ワインは詳細な情報はない。その他は海外産。
焼酎でも本格焼酎と名が付いているものは蔵元がはっきりしている。楽丸酒造(福岡県田主丸町)と小正醸造(鹿児島県日置市)。しかし通常販売品は不明だ。
放射能対策で気になるのは、"商品に使用する水と出荷前の商品"について測定を行い、とある。水以外の原材料については調達時に検査していないということだ。
仙台工場はもう復旧稼働している。
サッポロビール 工場案内
サッポロビール ものづくりノート
8.オリオンビール
ビール・新ジャンル・発泡酒・ソフトドリンク(レモンティー・茶・水)など。
放射能対策に関する情報なし。
工場は、名護工場(沖縄県名護市)のみ。
大手4社(キリンホールディングス・アサヒビール・サントリーホールディングス・サッポロホールディングス)は、基本的に放射能対策を行っている。その中でも、"キリンビール"・"メルシャン"・"アサヒビール"・"サントリー"と公式発表が詳細で信頼性が高い。
大手4社は総合酒類メーカーなので、ビール系・チューハイカクテル類・洋酒類・ワイン・焼酎に分けてその対応をまとめておく。
ビールは水と麦芽・ホップの原材料で製造されるので、対策を施している各社とも、それほど問題にならない。しかし、発泡酒とビール飲料には色々な穀物原料が添加されている。その分危険性が高くなる可能性がある。特に、カクテル類などは、国産の果実由来の原料が使われるので注意が必要。
洋酒類は海外ブランドなら輸入品になる。国産(ウイスキー)は、蒸溜所が福島原子力発電所から遠い地域にある"キリンビール"・"サントリー"ブランドのもの。ワインも同様に、ワイナリーとぶどう産地が遠い地域の"サントリー"・"サッポロビール"ブランドが比較的安全かも。
焼酎は本格焼酎と表記されている、蔵元がはっきりしたものから選ぶ。という事になる。
次に、地ビールに関して。
製造者の場所が目安にはなると思う。と言っても、製造所の場所や原材料の調達先は調査しないと分からない。以下を参考に。
BEER People 地ビール・地発泡酒醸造所リスト
全国地ビール醸造者協議会 会員リスト
ウィキペディア 地ビール
9.チョーヤ梅酒
拠点が関西だからか、放射能対策に関する情報はなし。
工場は、大阪本社工場・川向工場(大阪府羽曳野市)・紀州工場(和歌山県田辺市)・伊賀上野工場(三重県伊賀市)の4か所。基本原料の梅は、紀州産南高梅と古城梅・白加賀梅などを使用。とある。古城梅(ごじろうめ)・白加賀梅(しらかがうめ)は和歌山県紀州産とは限らないようだ。
チョーヤ梅酒 ニュースリリース 和歌山県紀州産「南高梅」の漬け込みを開始
チョーヤ梅酒 おいしい梅酒ができるまで
10.養命酒製造
薬用養命酒・ハーブの恵み・ハーブプラス・養命水・家醸本みりんなど。
薬用を謳い歴史ある企業なのだが、放射能対策に関する発表がない。駒ヶ根工場(長野県駒ヶ根市)・中央研究所(長野県上箕輪町)ともに生産拠点は長野県にある。
養命酒製造 養命酒の製造工程
ここまでで、ワイン(果実酒)・国産の洋酒類に関してのまとめ。
大手4社・上記企業以外のワイン・洋酒類(ウイスキー・ブランデー・スピリッツ・リキュール)は、以下を参考にそれぞれの業者の製造工場、原料調達状況などを確認のこと。
目安としては、製造所の場所と原材料の調達先がはっきりしている業者。で、福島原子力発電所から遠方である事。が条件となると思う。中小企業で独自に放射性物質の検査を行っているところは珍しいだろう。もしそんな企業があれば、とても信頼できる企業だ。
日本ワイナリー協会 ワイナリーだより
ウィキペディア 日本のワイン
日本洋酒酒造組合 組合員の紹介
(以上この記事には、もちろん一部私の主観も入っています。リンク先のページ等でご自身で確認して下さい。心配ならお問い合わせを。)