最澄と同時期、遣唐使に同船して密教を学んで帰国した空海は、真言宗の開祖と言われ、後に醍醐天皇から弘法大師の諡号を送られます。
空海は最初中央官僚を目指し勉学したようです。しかし、仏法に目覚め、遣唐して唐の密教僧の恵果阿闍梨から「遍照金剛」の法名を受け帰国します。法名を受けたということは、密教僧として解脱して仏の称号を持ったことを意味します。
真言密教とは。曼荼羅とは。
密教の密とは秘密の教えという意味で使われます。対して密教以前の大乗仏教を「顕教」と言ったりします。秘密の教えとは、金剛乗(大乗仏教が最高に完成された形)として大成された、"言葉では言い表せないもの"ということになります。
ではどうやって密教を取得すればいいのでしょうか。
優れた修行僧と「面授」して、「三密」(身・口・意の三密)*1の行を行って自ら体現することによって悟りを目指す。そして悟りを開いた者は、あるがままの姿で仏となれる「即身成仏」とします。
密教世界は言葉(経典)で言い表すことが出来ない。ではどうやって表現するかというと、それが曼荼羅ということになります。
空海は密教経典と一緒に多くの美術工芸を唐から日本に持ち帰る。その中には四天王・帝釈天・弁財天・明王など、本来の仏教でないもの(ヒンズー・バラモン教が元になるの神々)が含まれていて、それが日本仏教の真言密教として華開いていくことになる。反対にインド・中国密教は仏教とは離れて衰退していきます。
空海は真言密教を真言宗として確立しました。隙のない程に。また、日本仏教を学問仏教から、行為を伴う救済仏教という本来宗教のあるべき姿への転換を促したことは大きな功績です。
■ 関連図書
- 作者: 松長有慶
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/09/01
- メディア: 文庫
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (4件) を見る